趣味全開!その1
王立宇宙軍 オネアミスの翼展 SFアニメができるまで
表題の展示会が東京八王子市夢美術館にて開催中です。
(2018年11月11日まで、月曜日定休・月曜祝日なら翌火曜日閉館)
王立宇宙軍 オネアミスの翼 とは?
人類初の有人宇宙飛行をめざして設立された「王立宇宙軍」。だが実験は失敗続き、計画は遅々として進まない。その宇宙軍の士官であるシロツグは、仲間たちとともに怠惰な日々を送っていた。だが、純粋な少女・リイクニとの出会いが彼を変えた。「宇宙をめざすお仕事なんて、夢があって素晴らしいですわ」という彼女の言葉にプライドを刺激されたシロツグは、有人飛行実験のパイロットに志願する。 シロツグの熱意は無気力だった仲間たちをも動かし、停滞していた計画が回り出す。だが彼らの知らぬところで、国家レベルの陰謀が着々と進行しつつあったのだ・・・! 主人公シロツグの声を俳優 森本レオが担当し、音楽の一部を坂本龍一が務めた。
GAINAX NET|Works|Animation & Films|王立宇宙軍 オネアミスの翼
エヴァンゲリオンを生み出したアニメ製作会社 GAINAX 創成期の劇場アニメ作品。
というよくある説明は逆で、この王立宇宙軍を作成する為に設立されたのがGAINAXで、お世辞にも興行成績は芳しくなかった本作の借金を返済するのを目的に継続運営されて製作されたのが「トップをねらえ!」や「新世紀エヴァンゲリオン」でした。
会場に溢れる情報の海!
ということで、先日八王子まで行ってきました。
羽田からの「通り道」を経て静岡へw pic.twitter.com/WICWoEAVNz
— とーます@隠密部静岡支部 (@T_proof_35mm) 2018年10月5日
八王子駅から斜めに歩いて15分、見落としてしまいそうなビルの2階に東京八王子市夢美術館はありました。
1つのアニメ作品が美術展になるの?ファン向けのイベント展示規模では?と思うのは甘く、王立宇宙軍 オネアミスの翼 は美術館で扱うに見合う作品です。
というのも、王立宇宙軍の世界を、工具・髭剃りなどの小道具、乗り物や建物、文字に至るまで独自の世界観を微細に設定し、膨大な設定・世界観を構築した上で作成された作品だからです。
異世界を扱ったファンタジーは多数あれど、ここまで世界観を構築している作品は数少ないです。
展示は構想メモ、世界観・作品を伝えるためのパイロットフィルムの設定集、そのパイロットフィルム、文字や小道具などの設定画などに多くのスペースを使い、キャラクターデザインなどの内容は十分ながらも控えめ、最後には完成作品を見るという流れでした。
会場で購入した60ページほどのパンフレットの3倍ほどの情報量に溢れていました。(故に「図録」ではない模様)
会場には20年来浮かんでは沈みを繰り返している、同じ世界観を舞台にした「蒼きウル」のイメージボードの展示もありました。
これは襖絵として、京都大徳寺 真珠庵 に特別公開されています。
戦利品
パイフレットは展示会用に美術館側が作成したものですが、それ以外にもGAINAXせいのグッズも多数売っていました。
(いずれも現金払いのみ)
「王立宇宙軍 オネアミスの翼展」ミュージアムショップ販売商品情報 | GAINAX NET
私はマグカップとタイピンを購入。(タイピンは最後の1個だったのかも)
マグカップには本作や「新世紀エヴァンゲリオン」のキャラクターデザインをされた貞本義行さんによる、シロツグ帰還後のパレードの様子が描かれています。
(本編では打ち上げ成功まで)
またネクタイピンには王国の紋章が描かれています。
若者に見て欲しい普遍的な作品
この作品は平均24歳という素人同然のクリーエーターに8億円ものお金をつぎ込み、緻密な世界観と映像作成に熱意と熱量をありったけつぎ込んで作成されたような作品です。
バブル景気の真っ只中の1987年作品というのもあったかと思いますが、ちょっと無謀ですよね。
だから興行的には失敗でも、後年になるほど評価は上がっていきました。
30年以上前に作品の新作グッズ、しかも公式サイトでは未発売のものが作られ、売られているというのが、公開時よりも後年の作品とGAINAXの成果・評判の高さを物語っていますね。
物語としても、落ちこぼれ宇宙軍の士だったシロツグがリイクニに会い、仲間を巻き込み、遂には宇宙に達する、という成長記でもあります。
私にとっては未だに気分が落ち込んだ時には全編、少なくとも最後の打ち上げシーンだけでも見返すバイブルのような作品です。
物凄く見応えのある展示会であり、作品なので是非!
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余談
当時の息吹を感じたいなら・・・
本作の監督 山賀博之さん、作画監督を務めた庵野秀行さん(エヴァンゲリオン監督)、助監督 赤井孝美さん、GAINAX社長を務めた岡田斗司夫さんのGAINAX前夜の出会いなどを副次的に描いた、漫画家 島本和幸さんの自伝「的」漫画 アオイホノオがオススメです。
また「 アオイホノオ」はTV東京系で柳楽優弥さん主演でドラマ化もされました。
その際の山賀ヒロユキさん役はムロツヨシさんでした。(確かにゲスい)
1987年はCGの黎明期。ということは・・・
今回はSFアニメができるまで、なので製作前の設定などに重きを置いた展示会で、完成した映像は流されますが、特にそちらについてはさほぼ触れられていません。
ただ、これが作成された1987年はCGがまだまだ一般的ではなかった時代です。
その辺を踏まえて、最後の打ち上げシーンを見ると、液体窒素で冷やされ、打ち上げ時にロケットから剥がれ落ちる氷片が全て手書きということを知り、感動していまします。
意外な人物が納得のシーンを担当・・・
スタッフ欄をよく見ると、アニメファンでなくても名前を知る漫画家の名前があります。
「マジカル・タルるートくん」「東京大学物語」などの作者である 江川達也さんです。
で、本作のどこを担当したかというと、これです(笑)→
オネアミスの翼‐王立宇宙軍 コンプリーテッドファイル (B-CLUB SPECIAL)より
社会人失格?
あ。
八王子でどハマりして今からだと本社の会議に間に合わない。( ゚д゚)。。。。。。。ま、可能なら出て、と言われたので可能じゃなかったということにしよう。
オネアミスの翼の打ち上げシーンより重要な会議なんてこの世にはない!(キッパリw https://t.co/Zs4rG2GlAB— とーます@隠密部静岡支部 (@T_proof_35mm) 2018年10月5日