金子みすゞさんよりも、にほんごであそぼよりも、やや毒気のある話で申し訳ないのですが。。。
ゴースト・イン・ザ・シェル(2017年 アメリカ)
士郎正宗のコミックを押井守監督が映画化したSFアニメの傑作「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」を、ハリウッドで実写映画化。オリジナル作品の草薙素子に相当する主人公の少佐を、「アベンジャーズ」「LUCY ルーシー」などアクション映画でも活躍するスカーレット・ヨハンソンが演じ、少佐の上司・荒巻に、映画監督として世界的評価を受けるビートたけしが扮する。そのほか、少佐の片腕バトー役でデンマーク出身の俳優ピルウ・アスベック、映画オリジナルキャラクターのオウレイ博士役でフランスの名女優ジュリエット・ビノシュらが出演。「スノーホワイト」のルパート・サンダース監督がメガホンをとり、オリジナル版「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」をはじめ押井監督作常連の作曲家として知られる川井憲次が音楽を担当。 脳とわずかな記憶を残して全身が機械化された、最強の捜査官・少佐は、全世界を揺るがすサイバーテロ事件を発端に記憶が呼び覚まされるが、そこには驚くべき過去が隠されていた。
ゴースト・イン・ザ・シェル 特集:“映画のプロ”たちが超期待!今、業界人たちがとにかく熱視線を注いでいる《伝説の日本発SFアクション》を知っているか!? - 映画.com
ミーハーな感想
ホントに良かった!
オマージュというか、そのまんまというシーンもあり、往年の攻殻ファンにはニマニマするシーンがたくさん。
ガブとか街中の巨大広告に一瞬映る「イノセンス」のロゴとかの小ネタも。
それでいてよく練られてるなーと思える話でした。
比較的破綻も少ない。
今まで映像化された「攻殻機動隊」の中でも、ものすごく分かりやすい話になっています。
ただ、そもそもサイトーが要らない。( ̄  ̄)
ラストもバトーが押井版さながらに撃ちまくればいいやん!
なのに、あの話の流れの中、それまでサイトーがどういうキャラか明示するエピソードがないままに、サイトーがどういう人か知ってるでしょ?と観客の予備知識を頼りに、最後にだけ活躍するというのはリップサービスではなく、手抜きです。(°▽°)
何故そこまで無理してサイトーやボーマなど公安9課メンバーを出そうとしたんだろう???
さて、ミーハーな感想だけでなく、少し踏み込んで考えてみました。
吹替版の功罪
上映時間の都合上、私は同日に吹替版を先に見て、数時間後に字幕版を見ました。
この映画の吹替版は主要3キャスト(少佐、バトー、トグサ)を押井版「攻殻機動隊」と同じキャストが演じています。
個人的にはこの吹替は功罪相半ばという感じ。
この主要3キャストのキャラクターがどういうキャラかというのを知っているから、世界観やキャラクターの性格、その相関性がすんなり入り込めるというのはあります。
ただ、押井版 攻殻機動隊のキャストということで、押井版での設定が頭に過ぎります。
その上で、私のような攻殻ファンであればSAC、ARISEなども見ています。
そちらも同じキャストですので、その世界観が更に過ぎります。というか、混ざります。(°▽°)
ただ、今回の「ゴースト・イン・ザ・シェル」は漫画とも押井版 攻殻機動隊ともSACともARISEとも違う世界です。
だから、最初違和感を感じるんですよね、違う世界観に、違う見た目(俳優)の人が、聞き慣れたキャラクターで喋っていることに。
それを「え?こんな関係性や世界は攻殻じゃない!」と固辞してしますと、この映画は攻殻じゃない!になるんでしょうね。
私は最初の数分(公開されているダイブ画像の前)のシーンで、「あ。これは別物だ」と思って頭を切り替えましたので、その混同は比較的薄めで、別の映画として楽しめました。
字幕版:荒巻のみが日本語を喋る違和感
今回の実写版「ゴースト・イン・ザ・シェル」を純粋に1つの映画としてその世界観を楽しむならば、過去作品との混同が少なく、またアイデンティの話であるという印象を際立たせる為にも、字幕版の方がオススメです。
それでも違和感があるのは、ビートたけしさん演じる荒巻だけが日本語であるということ。
ただ、私が言いたいのは、「荒巻も英語を喋れよ、中途半端だなー 。銃も撃ってるし、荒巻っていうよりアウトレイジやんけ」という、よく見かける感想ではありません。
電脳のある世界ですから、荒巻の日本語も自動翻訳されてても不思議じゃないと思うんですよ。
それ故にか、日本語と英語でも会話に滞りがなく進みます。
それに、意外と原作漫画の荒巻はコミカルな狂言回しということもありますんで、狡猾な政治力を持つ交渉人というのだけが荒巻というわけではないと思うんです。
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私が言いたいのは、この内容と設定ならば、桃井かおりさんも役柄上日本語を喋っていた方がテーマに合っていたんじゃないか?ということ。
それにより、桃井かおりさんの役と少佐の対比がより強固になり、アイデンティについても際立ったんじゃないかな?と。
ちなみに、吹替版では 桃井かおりさん までをも別の日本人(大西多摩恵さん)が吹き替えています。
それも違和感なんですよね〜。(*_*)
字幕版では、桃井かおりさんがあの独特な雰囲気であり、あの人物設定なのに英語のセリフである違和感。。。
吹替版では、桃井かおりさんの容姿なのに記憶と違う声が聞こえてくることの違和感。。。
そこが私にとっての今回の「ゴースト・イン・ザ・シェル」で最も、でも唯一に近い残念な部分でした。
攻殻機動隊とは何か?
今回の「ゴースト・イン・ザ・シェル」は今までの攻殻とは全く違う設定で進むお話です。
だから、攻殻じゃないという人がいるのも理解できるなー、というのが今回の「ゴースト・イン・ザ・シェル」でした。
ゆえに、攻殻機動隊はこういう物語、こうあるべきという考え、思いが人によって千差万別、それぞれが思う攻殻のイメージから外れるとコレジャナイと拒否するんじゃないかな〜?と思う。
それは人それぞれで、悪いとは言いません。
でも、そういった固定概念で否定するのは個人的には「それは損している」という感覚に近いです。
私にとって攻殻とは?
自分とは何か?自分を構成するものは何か? 何を以って自分というのか?というアイデンティを探す物語が「攻殻機動隊」だと私は思っています。
その中で、義体や草薙素子、タチコマといったのは、攻殻機動隊の便利な「舞台装置」でしかない。
もともとSF好きのオタクですから、そういったサイバーパンクの世界観は好きですよ。
でも、それがないと攻殻機動隊ではないか?というと、そうじゃないと思ってます。
今回の映画は、自分のアンデンティを探すという本質は捉えており、分かりやすいカタチでそれを提示した映画だなーと思います。
ホワイトウォッシングという固定概念
この映画をホワイトウォッシングだと槍玉に挙げる人もいるそうです。
攻殻機動隊の主人公は「草薙素子」という日本人であり、それをスカーレット・ヨハンセンが演じるとは何事か!という主張でしょうかね?
うん。アホじゃねーの、と思う。(失礼)
そういう人は映画自体を見ずに批判してるんじゃないかな?と想像します。
違ったらゴメンなさい。
けど、見た上でホワイトウォッシングだという人は本質を理解していないような気がして、殊更、私は相容れない。(°▽°)
正にこの映画でスカーレット・ヨハンセンが演じたのは「少佐」であり、あくまでも草薙素子ではありません。
だから、今ではこの映画でスカーレット・ヨハンセンさんが「少佐」を演じたのは正解、と観終えた今なら自然と思えます。
最後に・・・
まだまだ公開中ですが、そんなこんなで私は字幕版をオススメします。
こういう世界もあったかも、と思って頭を真っ新に(過去作を思い浮かべずに)観るといいと思います。
この映画はこの映画で結構好きですよ。
あとはIMAXとMX4Dを見に行きたかったのですが、静岡でそれらが観れるところも、期間中に都会に出向く機会もなく、終わってしまいそうです。(T ^ T)
あの終わり方なら、続編作れそうなんだけど、期待していいのかなぁー。(°▽°)
アメリカではさほど評価されてないらしいので、世間が許さない?( ̄  ̄)
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当ブログでの攻殻機動隊への偏愛はこちらをどうぞ。
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